3分でわかる助成金 R7業務改善助成金③ 助成の対象となる設備

こんにちは、埼玉県で中小企業のサポートをしている社会保険労務士の高杉です。
令和7年度業務改善助成金についての第3回目です。
今回は、質問が多い「どんな設備が助成の対象になるのか?」を解説します。

業務改善助成金で活用できる「設備投資」とは?

「従業員の賃金を上げたいけど、業績もそこまで良くない…」
そんな中小企業・小規模事業者の悩みをサポートするのが【業務改善助成金】です。

この助成金は、従業員の賃上げと生産性向上の両立を目的にしており、一定の賃上げを行った上で、生産性向上のための設備投資を行う企業に対して、その費用の一部を補助する制度です。

今回は、その中でも特に質問が多い「どんな設備が助成の対象になるのか?」を解説します。

厚生労働省のガイドラインでは、助成の対象となる設備について、以下のような要件が求められています。

  • 生産性向上に資するもの
  • 汎用性がなく、業務の性質に適した専用性があるもの
  • 単なる修繕や維持管理ではなく、新たな改善策であること

つまり、「汎用的な複合機を購入した」「壊れたから買い替えた」では助成の対象になりません。「これを導入することで、業務がこう改善され、結果として〇%の時間短縮や工数削減につながる」と説明できる必要があります。

よくある対象例

実際に多く採択されている設備投資の例は以下のとおりです。

機械・装置類

  • 自動包装機、自動検品機
  • 食品加工用の新型機械
  • 省人化を実現するロボットアーム など

IT関連設備

  • POSレジ・オーダーシステムの導入
  • 勤怠管理や給与計算のクラウド化
  • 管理システム(CRM)や業務管理アプリの導入

業務用ソフトウェア

  • 販売管理・在庫管理ソフト
  • 予約管理や工程管理のシステム

※パソコン本体は原則対象外ですが、ソフトと一体として導入し、必要性が認められる場合は対象になることも

省力化のためのレイアウト変更に伴う什器備品等

  • 作業導線を改善するための設備移設・什器更新
  • 重い物を扱うための作業補助器具

対象外となる例

以下のようなものは、業務改善助成金では原則として対象外です。

  • 修理・保守・既存機器の買い替え(改善性の説明ができない場合)
  • 事務所の装飾や福利厚生目的の備品車両、土地建物の取得・賃借料
  • 汎用的なPC・タブレットのみの購入

ただし、特例事業者に該当すると、車両やパソコン、タブレット、スマホも助成の対象となる可能性があります。

特例事業者とは

原材料費の高騰など社会的・経済的環境の変化等の外的要因により、申請前3か月間のうち任意の1か月の利益率が前年同月に比べ3%ポイント以上低下している事業者が該当します。

効果の「見える化」が重要

助成金の審査では、設備を入れた結果、どれくらいの改善が見込まれるかを具体的に示すことが大切です。
たとえば、「1日あたりの作業時間が〇分短縮」「人件費が年間で〇円削減」といった数値で示すと説得力が増します。

導入前と導入後の業務フローを比較する資料などがあると、申請もスムーズです。

おわりに:賃上げと業務効率化を同時に進めるチャンス

業務改善助成金は、従業員のモチベーションアップと企業の生産性向上を両立できる貴重な制度です。
制度をうまく活用すれば、実質的なコスト負担を大きく減らしながら、事業の土台を強化することができます。

「この設備、対象になるのかな?」と迷ったら、まずは専門家に相談することをおすすめします。
当事務所では、助成金の対象設備の判断から申請書作成までサポートしています。お気軽にお問い合わせください。