埼玉県の最低賃金が正式に決定しました。
令和8年8月21日、埼玉労働局は、埼玉県最低賃金を現行の時間額1,141円から55円引き上げ、1,196円に改正すると発表しました。
新しい最低賃金は、令和8年10月1日(木)から適用されます。
今回は、埼玉県最低賃金の改正内容と、企業が今から確認しておきたいポイントについて解説します。
埼玉県最低賃金は1,196円に
今回の改正内容は、次のとおりです。
| 現行 | 改正後 | |
|---|---|---|
| 最低賃金 | 1,141円 | 1,196円 |
| 引上げ額 | - | 55円 |
| 引上げ率 | - | 4.82% |
| 効力発生日 | - | 令和8年10月1日 |
今回の改正により、埼玉県内で事業を営む使用者は、原則として、すべての労働者に対して時間額1,196円以上の賃金を支払う必要があります。
埼玉労働局の発表では、令和8年8月5日付けの答申に対する異議申出について審議した結果、答申どおり決定することが適当との結論となり、今回の改正が決定されました。
10月1日から最低賃金1,196円が適用されます
今回の改正で特に注意したいのが、令和8年10月1日から適用されるという点です。
最低賃金は、原則として、パート・アルバイトなどの非正規雇用労働者だけでなく、正社員を含めたすべての労働者が対象となります。
そのため、現在の給与額を確認し、10月1日以降の最低賃金を下回る従業員がいないか、事前に確認しておく必要があります。
月給制の従業員も確認が必要です
最低賃金というと、時給制のパート・アルバイトを思い浮かべる方も多いと思います。
しかし、月給制の従業員についても、最低賃金を下回っていないか確認が必要です。
月給制の場合は、月給を1か月平均の所定労働時間で割って、時間額に換算して確認します。
例えば、月給200,000円で、1か月平均の所定労働時間が160時間の場合、
200,000円 ÷ 160時間 = 1,250円
となるため、最低賃金1,196円を上回っています。
一方で、基本給や手当の中には最低賃金の計算に含めないものがあります。
そのため、単純に「毎月支払っている給与総額」を所定労働時間で割ればよいというわけではありません。
最低賃金の引上げによる人件費への影響にも注意
今回の引上げは55円です。
例えば、時給1,141円で働いている従業員が週40時間勤務した場合、単純計算で年間約2,000時間勤務するとすると、
55円 × 2,000時間 = 約110,000円
の人件費増加となります。
さらに、最低賃金付近の従業員だけ給与を引き上げると、他の従業員との賃金差が小さくなり、給与バランスの見直しが必要になる場合もあります。
そのため、最低賃金への対応は、単純に「時給を55円上げれば終わり」ではなく、会社全体の賃金体系を確認する機会として考えることも重要です。
最低賃金改正に向けて企業が確認しておきたいこと
10月1日の改正に向けて、次の項目を確認しておくことをおすすめします。
① 時給1,196円を下回る従業員がいないか
まずは、パート・アルバイトを中心に、現在の時給を確認しましょう。
特に、現在の時給が1,196円未満の従業員については、10月1日以降、賃金の引上げが必要です。
② 月給制の従業員も最低賃金を確認する
月給制の従業員についても、最低賃金の計算方法に従って確認します。
基本給だけでなく各種手当を含めて確認する必要があるため、給与規程や賃金台帳を確認しながら計算することが重要です。
③ 給与計算への反映時期を確認する
10月1日以降の労働について、改正後の最低賃金が適用されます。
そのため、給与の締日・支払日を確認し、10月1日以降の勤務分について新しい最低賃金が正しく反映されるよう、給与計算の設定を確認しておきましょう。
④ 会社全体の賃金バランスを確認する
最低賃金の引上げによって、従業員間の賃金差が小さくなる場合があります。
最低賃金に合わせて給与を引き上げるだけでなく、既存社員の給与や昇給額についても確認しておくとよいでしょう。
最低賃金引上げへの対応に助成金を活用できる場合も
最低賃金の引上げによって人件費が増加する一方で、業務の効率化や生産性向上に取り組むことで、人件費の負担を抑えることも考えられます。
例えば、
- 業務を効率化する設備の導入
- ITシステムの導入
- 作業時間を短縮する機器の導入
- 業務の自動化
などです。
こうした取り組みについては、業務改善助成金などの助成金を活用できる可能性があります。
最低賃金の引上げを単なる人件費の増加と捉えるのではなく、設備投資や業務効率化を進めるきっかけとして活用することも重要です。
まとめ
令和8年10月1日から、埼玉県最低賃金は1,196円に引き上げられます。
今回の改正では、現行の1,141円から55円、4.82%の引上げとなります。
企業としては、10月1日を迎える前に、
- パート・アルバイトの時給
- 月給制従業員の最低賃金
- 給与計算の設定
- 賃金体系・給与バランス
などを確認しておくことをおすすめします。
また、最低賃金の引上げをきっかけとして、業務効率化や設備投資を検討する場合には、助成金を活用できる可能性もあります。
最低賃金改正への対応や、助成金の活用についてお困りの場合は、当事務所へご相談ください。