埼玉県の最低賃金が1,141円に引き上げ―過去最大の上げ幅、事業者は早めの対応を

はじめに

埼玉県内で働くすべての労働者に適用される「埼玉県最低賃金」が、令和7年11月1日から「時間額1,141円」に引き上げられます。
今回の改定は、平成14年度に時間額表示となって以来、過去最大の引上げ額(+63円)です。
人件費の上昇が避けられない中で、経営に与える影響も大きくなるため、早めの対策が重要です。


改正内容

  • 【改定後の最低賃金】1,141円(時間額)
  • 【発効日】令和7年11月1日(土)
  • 【引上げ額】+63円(過去最大)
    この改正により、埼玉県内では約24万4千人以上の労働者が影響を受けると見込まれています。

最低賃金と比較するときの注意点

最低賃金は、時間あたりの賃金額で比較する必要があります。
以下のようなケースでは特に注意が必要です。

  • 月給の場合:月給を1か月の平均所定労働時間で割って時給換算する
  • 日給の場合:日給を1日の平均所定労働時間で割って時給換算する
  • 割増賃金・賞与・通勤手当などは原則として最低賃金の計算に含めない

最低賃金を下回ると、労働基準法違反となり、罰則の対象になる可能性があります。改定前に必ず自社の賃金体系を確認しましょう。


中小企業の「賃上げ」に対する支援策

昨今の賃上げに対しては、国が支援策を用意しています。
代表的なものが「業務改善助成金」です。

この助成金は、

  • 時間給を30円以上引上げを実施した中小企業が、
  • 生産性向上に役立つ設備投資(機械・POSレジ・クラウドシステムなど)を行った場合に、
    その費用の一部(費用の3/4、上限600万円)が助成される制度です。

賃上げは単なる「コスト増」ではなく、業務効率化や人材定着のチャンスでもあります。
助成金をうまく活用しながら、負担を軽減しつつ前向きな改善を進めましょう。


最後に

最低賃金の引上げは、企業にとって避けられない流れです。
しかし、単に「支出増」として受け止めるのではなく、
働きやすい職場づくりや業務効率化への投資のきっかけとして捉えることが大切です。

当事務所では、賃上げに負担を軽減する助成金の活用や、勤怠・給与のクラウド化による生産性向上のご相談も承っています。
「どの制度を使えばいいかわからない」という方も、お気軽にご相談ください。